「ヴァーミリアン絶対政権」で幕を閉じた2007年のダート競馬。

2001年にJBCが創設され、現在と変わらないレース体系が確立されて7年が経過した。この項では、ダートホースの世代間比較を行ってみたい。

現在、ダートの古馬G1・Jpn1競走は川崎記念、フェブラリーS、かしわ記念、帝王賞、MCS南部杯、JBCスプリント、JBCクラシック、JCD、東京大賞典の9レース(かしわ記念は2005年からG1昇格)。これらの競走をどの世代の馬がどれだけ制しているかをまとめたのが次である。馬名の後の西暦はその馬がクラッシック年齢に到達した年を示す。

2001年
川崎記念:レギュラーメンバー(2000年)
フェブラリーS:ノボトゥルー(1999年)
帝王賞:マキバスナイパー(1998年)
南部杯:アグネスデジタル(2000年)
JBCS:ノボジャック(2000年)
JBCC:レギュラーメンバー(2000年)
JCD:クロフネ(2001年)
東京大賞典:トーホウエンペラー(1999年)

2002年
川崎記念:リージェントブラフ(1999年)
フェブラリーS:アグネスデジタル(2000年)
帝王賞:カネツフルーヴ(2000年)
南部杯:トーホウエンペラー(1999年)
JBCS:スターリングローズ(2000年)
JBCC:アドマイヤドン(2002年)
JCD:イーグルカフェ(2000年)
東京大賞典:ゴールドアリュール(2002年)

2003年
川崎記念:カネツフルーヴ(2000年)
フェブラリーS:ゴールドアリュール(2002年)
帝王賞:ネームヴァリュー(2001年)
南部杯:アドマイヤドン(2002年)
JBCS:サウスヴィグラス(1999年)
JBCC:アドマイヤドン(2002年)
JCD:フリートストリートダンサー(外国馬)
東京大賞典:スターキングマン(2002年)

2004年
川崎記念:エスプリシーズ(2002年)
フェブラリーS:アドマイヤドン(2002年)
帝王賞:アドマイヤドン(2002年)
南部杯:ユートピア(2003年)
JBCS:マイネルセレクト(2002年)
JBCC:アドマイヤドン(2002年)
JCD:タイムパラドックス(2001年)
東京大賞典:アジュディミツオー(2004年)

2005年
川崎記念:タイムパラドックス(2001年)
フェブラリーS:メイショウボーラー(2004年)
かしわ記念:ストロングブラッド(2002年)
帝王賞:タイムパラドックス(2001年)
南部杯:ユートピア(2003年)
JBCS:ブルーコンコルド(2003年)
JBCC:タイムパラドックス(2001年)
JCD:カネヒキリ(2005年)
東京大賞典:アジュディミツオー(2004年)

2006年
川崎記念:アジュディミツオー(2004年)
フェブラリーS:カネヒキリ(2005年)
かしわ記念:アジュディミツオー(2004年)
帝王賞:アジュディミツオー(2004年)
南部杯:ブルーコンコルド(2003年)
JBCM:ブルーコンコルド(2003年)
JBCC:タイムパラドックス(2001年)
JCD:アロンダイト(2006年)
東京大賞典:ブルーコンコルド(2003年)

2007年
川崎記念:ヴァーミリアン(2005年)
フェブラリーS:サンライズバッカス(2005年)
かしわ記念:ブルーコンコルド(2003年)
帝王賞:ボンネビルレコード(2005年)
南部杯:ブルーコンコルド(2003年)
JBCS:フジノウェーブ(2005年)
JBCC:ヴァーミリアン(2005年)
JCD:ヴァーミリアン(2005年)
東京大賞典:ヴァーミリアン(2005年)

2001年クラシック世代以降の世代別G1勝利数は次のようになる。

2001年7勝(タイムパラドックス5、クロフネ1、ネームヴァリュー1)
2002年12勝(アドマイヤドン6、ゴールドアリュール2、スターキングマン1、エスプリシーズ1、マイネルセレクト1、ストロングブラッド1)
2003年8勝(ブルーコンコルド6、ユートピア2)
2004年6勝(アジュディミツオー5、メイショウボーラー1)
2005年9勝(ヴァーミリアン4、カネヒキリ2、サンライズバッカス1、ボンネビルレコード1、フジノウェーブ1)
2006年1勝(アロンダイト1)
2007年0勝

最高は2002年世代の12勝。この世代は芝でもシンボリクリスエス、デュランダルなどがいる近年最強世代。芝の長短、ダートを問わずタレント揃いのまさに完全無欠の最強世代だったことが分かる。

これに次ぐのが2005年世代の9勝。世代最強のカネヒキリが半ばリタイア状態で復帰のメドが立たない状況だが、替わりに絶対政権を打ち立てたのは2007年にG1・Jpn1を4勝したヴァーミリアン。この世代はまだ数字を伸ばしそうで、ヴァーミリアンが出走を予定している川崎記念で世代G1勝利数は2桁に乗ることになりそうだ。ヴァーミリアン以外にもメイショウトウコンらタレントが豊富であり、芝では低レベル世代の2005年世代だが、ダートでは史上最強世代になる可能性も秘めている。

これに続く2006年世代はアロンダイトがJCDを3歳で制し、輝かしい未来が見えかけたが、そのアロンダイトが故障により休養中、UAEダービーでInvasorに先着するなど世界クラスの実力を示していたフラムドパシオンは復帰のメドが立たず、そして世代限定G1ホースであるフレンドシップやマンオブパーサーが全くの不振ということが重なり、これまで古馬G1は1勝にとどまっている。2006年世代はJRAのみならず南関の方もどうやら低レベル世代だったことが明らかになっており、もしかすればこれ以上G1優勝数が伸びない可能性も出てきた。

2007年世代はJCDで穴人気を集めたドラゴンファイヤーら今後G1で通用する可能性を秘めている馬が何頭かいる。フリオーソが既に2度の古馬G1連対を果たしており、強い世代と評価しても良さそうだが、如何せん2007年はヴァーミリアンが強すぎた。ヴァーミリアンがドバイ遠征→秋まで休養という昨年と同じレースの使い方をしそうではあるので、ヴァーミリアン不在の間にG1勝ち星を伸ばせるかどうかだろう。
本日、水沢競馬場で行われた“元祖・岩手ダービー”第39回不来方賞(こずかた)賞は阿久利黒賞、ダイヤモンドCを制している菅原勲騎乗のセイントセーリング(牡3、岩手・鈴木七郎)が優勝。セイントセーリングは見事“岩手3冠”に輝いた。

セイントセーリングは父キングヘイロー、母ブルーサファイア(その父Damascus)という血統で通算16戦7勝。重賞は金杯、阿久利黒賞、“岩手ダービー”ダイヤモンドCに続き4勝目。

2着にはひまわり賞馬の牝馬マツリダワルツがゴール寸前でJRA芝路線に繰り返し挑戦したことでお馴染みのボスアミーゴを捕らえ入線。今年の岩手の3歳を代表する実力馬が実力を出し切って上位を独占、そのようなレースとなった。

セイントセーリングは2歳時にやや伸び悩みの時期があったが、冬季休催中に心身ともに成長を遂げたようで春から安定感抜群の走り。スピードの違いでハナを切っているが番手での競馬も出来る自在性を持っている。

馬インフルエンザ問題でJRA所属馬は来るのか?他地区所属馬は大丈夫なのか?など来月の3歳ダート王最終決定戦ダービーグランプリへ向けて(主に興行的な)問題もあるのだが、まずは岩手最強馬が決定。全国から強豪が集まるのを盛岡で待つ。ジャパンダートダービー創設前はダービーグランプリこそ全国のダービー馬が集まり覇を競う、そのようなレースだったのだ。是非とも馬インフルエンザによる影響が最小限で済み、9月の盛岡で疾走する全国の強豪たちの姿を見たい。一競馬ファンの切なる願いである。
函館競馬場で行われた中央競馬最初の2歳重賞・第39回函館2歳ステークス(Jpn3)は武幸四郎騎乗でホッカイドウ競馬所属のハートオブクィーン(牝2、北海道・若松平)が優勝。重馬場の勝ち時計は1分13秒8。

ハートオブクィーンは父ジョリーズヘイロー、母マイシークレット(その父Woodman)という血統。前走、初の芝レースとなったラベンダー賞で強い勝ちっぷりを見せていたが、最低人気での勝利だったため、今日も6番人気と低評価だった。道営所属馬の函館2歳S勝利はエンゼルカロ(1999)、モエレジーニアス(2005)に続く3頭目。

ホッカイドウ競馬はご存知のように国内で最も早く(4月から)2歳戦が開始される。ハートオブクィーンに見るまでもなく、道営所属馬は中央挑戦の時点で「経験」という大きなアドバンテージが存在するため、高確率で活躍している印象がある。本日人気を集めて敗退したエイブルベガなどのように逃げて圧勝したような馬が揉まれる競馬や差す競馬を経験していない、いわば経験値の足りない状態で人気になるためか函館2歳はよく荒れる。

まだデビューしていない競走馬もおり、ハートオブクィーンが今後も活躍し続けることが出来るかどうかは微妙だが、何はともあれ道営には明るいニュースとなった。

普段からホッカイドウ競馬をウオッチしている方なら十分ご承知のことと思うが、今年の道営の2歳勢はなかなかレベルが高い(昨年もトップサバトンやアンパサンドを輩出し、非常にレベルが高かった)。

その中でも五十嵐冬樹が「ここ10年の(道営の)2歳馬の中では最高」と賛辞を贈るエックスダンス(牡2、北海道・廣森久雄)には要注目だろう。既にイノセントカップ(H3)を制している重賞ウイナーである彼が次に姿を現すのは8月30日に行われる今年新設された重賞・BGJC(H1、ブリーダーズゴールドジュニアカップ)の予定。彼は馬主が社台の吉田俊介氏であり、いずれ中央にも出走してくることがあると思われるので、名前を覚えておいても損はなさそうだ。まずはBGJCでの走りに注目したい。
7月11日(水)、大井競馬場で行われた3歳ダート王決定戦・第9回ジャパンダートダービーは3番人気のフリオーソ(牡3、船橋・川島正行)が優勝。不良馬場の勝ち時計は2分2秒9でレースレコード。2着には東京ダービー馬アンパサンド(牡3、川崎・池田孝)が2馬身半差で続き、圧倒的な1番人気に支持されたロングプライド(栗東・小野幸治)はさらに4馬身遅れた3着に終わった。

フリオーソは父ブライアンズタイム、母ファーザ(その父Mr.Prospector)という血統。G1(Jpn1)勝利は昨年の全日本2歳優駿に続き2勝目。通算成績は9戦4勝。ジャパンダートダービーを制した地方所属馬はオリオンザサンクス、トーシンブリザードに続きレース史上3頭目。


フリオーソは逃げたトップサバトンを積極的に番手マーク。3角過ぎで先頭に立つと直線では後続を突き放す圧勝。冬場はJRAの芝に挑戦。その後、地元で戦った羽田盃、東京ダービーとも3、2着と勝てず、3冠目のこのレースでようやく本領を発揮した。脚抜きの良い馬場状態だったとは言え2分2秒9はとんでもない時計(帝王賞や東京大賞典の時計と比べて欲しい)であり、彼の潜在能力を証明するには十分な結果となった。今後は厩舎の偉大なる先輩であるアジュディミツオーの後継者として、そして再度、JRAに今度はダートで殴り込みを掛けて欲しい。夢が膨らむ1勝。JRAの馬主資格を持つことになりそうなダーレーだが、南関での活動を今後も続けて欲しいものだ。鞍上の今野忠成は中央遠征時にも豪腕ぶりを発揮している川崎のトップジョッキーだが、Jpn1は初勝利。自身が不遇な生い立ちであったことからハングリー精神が人の5倍くらい強いジョッキー。そして幼少時の自分と似た境遇の子供たちに毎年寄付を続けている心優しい一面も持ち合わせている。もっと活躍して欲しいジョッキー。

アンパサンドは3番手から徐々に進出したが直線ではフリオーソに突き放されてしまう。後ろからやってくるロングプライドも視野に入れる必要があり、心持ちスパートのタイミングが遅かったか。だが、南関3冠完全連対という成績は過去の強豪たちもなかなか達成できなかった成績。今後も活躍が望めよう。

ロングプライドは3角過ぎから上がっていったが、直線半ばで脚が上がってしまい万事休す。初ナイター、大井の砂質(実は使っている砂自体はJと一緒であり、大井の砂を一概に「重い砂」と表現するのは正しくない。また、「深い砂」と表現されることもあるが、大井のクッション砂の厚さはJと変らない)、最内枠と克服しなければならない点が多かったことは確かだが、もう少し見せ場が欲しかったのも正直なところ。貴重なサクラローレル産駒の活躍馬であり、更なる成長を望みたい。


「3強」と称された今年の南関東牡馬クラシック路線。結果としてトップサバトン、アンパサンド、フリオーソが1冠ずつ分け合うこととなった。

3冠初戦の羽田盃の時計が驚くような好時計、2冠目の東京ダービーの勝ち時計もレースレコードであり、この3強の戦いが近年では最高レベルに近い戦いであることが想像はできてはいたが、3冠目のこのレースでJRA勢を相手にしてもその上を行っていることが証明されることとなった。

ここ5年、JRA勢が連勝していたこのレースであるが、南関勢は京浜盃(中央の弥生賞に相当)→羽田盃(同皐月賞に相当)→東京ダービーと激戦を勝ち抜かなければならないのに対し、JRA勢は一線級が揃うのはユニコーンSくらいでゆったりとしたローテーションを組めることがその理由として挙げられていた。

確かにゆったりとしたローテーションの方が肉体に与えるダメージが少ないが、その一方で厳しい戦いを勝ち抜いた、という経験が欠落することとなる。フリオーソ、そしてアンパサンドは羽田盃、東京ダービーともタイム差なしの接戦。JRAのロングプライドに大きな差をつけた2頭の好走は激闘を積み重ねたことによる経験の差だったのだろう。強いライバルがいるからこそ勝者がより強く光り輝く。今年の南関牡馬クラシックは後年、思い出深いものとなりそうだ。
5月27日(日)、東京競馬場で行われた第74回東京優駿は3番人気のウオッカ(牝3、栗東・角居勝彦)が優勝。良馬場の勝ち時計は2分24秒5。2着には14番人気のアサクサキングス(牡3、栗東・大久保龍志)、3着には4番人気のアドマイヤオーラ(牡3、栗東・松田博資)が続き、圧倒的な1番人気に支持されたフサイチホウオー(牡3、栗東・松田国英)は7着だった。

ウオッカは父が2002年のダービー馬タニノギムレット(Roberto系)、母がタニノシスター(その父ルション(Riverman系))という血統。通算成績は7戦5勝。重賞は2006年阪神ジュヴェナイルフィリーズ、2007年チューリップ賞に続いて3勝目。牝馬のダービー制覇は1937年のヒサトモ、1943年のクリフジに続く史上3頭目で戦後初の偉業。


ウオッカは中団から。直線では馬場の中央に持ち出されると弾かれたように伸びて後続を突き放す圧勝劇。マイルから中長距離まで幅広い距離をこなす距離適性の広さ、そして爆発力は自身がリボーのクロスを持つタニノギムレットそのものである。同世代のチャンピオンになったウオッカの視線の先には何が見えているのか。既に凱旋門賞の登録は済ませてある。夢膨らむ1勝。同業者にさえ今回の挑戦を白眼視されていた角居勝彦調教師も胸がすく思いだっただろう。競馬の根幹にあるものは更なる強さを求めるチャレンジ精神に他ならない。

アサクサキングスはハナを切り、直線で迫ってきたサンツェッペリンを競り落とし、まんまと逃げ残る。東京コースは3戦2勝。百日草特別では前出のサンツェッペリンを破っており、力の裏づけは十分だったが、馬場に泣いた感のあるNHKマイルの大敗で全くの人気薄になっていた。この後は馬の状態次第で宝塚記念とのことだが、ローエングリンの例もあり、斤量差の大きい3歳春なら再度あっと言わせるシーンがあっても驚けない。先週の優駿牝馬と言い、最終レースの目黒記念で不振に喘ぐアドマイヤフジを再生したりと現在のユーイチは手が付けられない。

アドマイヤオーラは前走より早めの競馬も混戦の3番手争いを制してアサクサキングスに迫るのが精一杯。直前で乗り替わりが生じてゴタゴタがあった同馬であるが、現状の力は出し切っている。

サンツェッペリンは関東馬最先着。最後まで3着争いに加わり、皐月賞がフロックではないことを自分の走りで証明してみせた。購買価格が非常に安いため人気になりにくい馬ではあるが、競走馬の才能は価格が全てではないということ。今後も同馬の得意な条件なら再度あっと言わせるシーンがあるだろう。ドリームジャーニーは直線勝負で鋭く差込み掲示板確保。成長力のある血統だけにまだこれからという気もするが、もう少し自在性が欲しい。フサイチホウオーは1番人気が圧倒的に強いダービーとしてはかなり久しぶりに圏外に消え去った。皐月賞馬ならいざ知らず、皐月賞3着馬に過ぎない同馬に単勝1倍台の支持はどうなのか。メディアは父ジャングルポケットに重ねて見ていたようだが、私にはアドマイヤグルーヴ(無敗→1冠目3着→2冠目単勝1倍台の圧倒的人気)にしか見えなかった。


2002年皐月賞、そして今年の桜花賞と圧倒的な人気を背負いながら、このファミリーに栄冠を与えることが出来なかった四位洋文がようやく「借り」を返した。若手とばかり思っていた四位洋文もジョッキー生活は既に17年目。近年、成績が往時ほど芳しくなく若手に押されている印象もあったが、この勝利で再び勢いに乗るのではないか。競馬学校時代、藤田伸二が敗北感を抱いたと言う程の高い騎乗技術を持つ四位洋文。騎乗から迷いが消えれば、地方競馬出身騎手に蹂躙されている関西のリーディング争いに食い込む力も十分持っているはずだ。秋には稀代の女傑とともに国内外問わず大暴れして欲しいと思う。
5月2日(水)、船橋競馬場で行われた第19回かしわ記念(Jpn1)は1番人気のブルーコンコルド(牡7、栗東・服部利之)が優勝。やや重の勝ち時計は1分37秒4。2着には昨年の覇者アジュディミツオー(牡6、船橋・川島正行)、3着には南関東転厩初戦のディープサマー(牡5、船橋・川島正行)が続いた。

ブルーコンコルドは父フサイチコンコルド(Nijinsky系)、母エビスファミリー(その父ブライアンズタイム(Roberto系))という血統。G1(Jpn1)勝利は2005年JBCスプリント、2006年マイルチャンピオンシップ南部杯、JBCマイル、東京大賞典に続く5勝目。通算成績は36戦13勝(重賞9勝)。


ブルーコンコルドは先行集団から。先に捲り気味に仕掛けたサンライズバッカスが直線でガス欠になるやアジュディミツオーの内から鋭く伸びて完勝。昨年のこのレース2着及びフェブラリーS2着の雪辱を果たした。これでG1(Jpn1)5勝目となったが、特筆すべきはそれを全て違う競馬場(順に名古屋、盛岡、川崎、大井、船橋)で挙げていること。これは彼のコースを問わない真の強さを証明していると言える。次走は帝王賞となろうが、現在の調子であれば確勝級と言っても良いだろう。

アジュディミツオーはハナへ。4角で早めに捲ってきたサンライズバッカスには抜かせなかったが、インから強襲してきたブルーコンコルドに抵抗する余力は残っていなかった。さすがに昨年の勢いはないが、まだまだホームでは崩れない。中間の坂路調教がいい意味でリフレッシュにつながった模様である。少々、馬体が増えすぎの感もあるため、帝王賞では是非とも馬体を絞っていい走りを見せて欲しい。復活近し。

ディープサマーは先行集団から。早めに仕掛けたサンライズバッカスが失速したところを内から襲い掛かり3着を確保。長期休養明けで半信半疑の状況だったが、調教ではなかなかの動きを見せていた。ここにもう一頭、“川島流”再生馬が誕生しそうな予感がある。

ボンネビルレコードは中団から。直線で失速したサンライズバッカスを外から交わし4着確保。過去の交流G実績を考えれば驚くまでもない成績だが、中央入りでもう少し変わった姿を今後は見せて欲しい。サンライズバッカスは4角でミツオーを自力で捕まえに行ったものの失速してしまい、伏兵2騎に差し込まれてしまった。Storm Catの系統だけに強さと脆さが同居している。


結果として昨年の1、2着が入れ替わっただけであり、ダート戦線の勢力図が昨年から変化がないことを印象付けた一戦となった。各馬順調に行けば、今年の帝王賞はかなりの豪華メンバーとなりそうでハイレベルの混戦が予想される。来月の頂上決戦が非常に待ち遠しい。
29日(日)、京都競馬場で行われた第135回天皇賞(春)は2番人気のメイショウサムソン(牡4、栗東・高橋成忠)が優勝。良馬場の勝ち時計は3分14秒1。2着には11番人気のエリモエクスパイア(牡4、栗東・大久保龍志)、3着には4番人気のトウカイトリック(牡5、栗東・松元省一)が続いた。

メイショウサムソンは父オペラハウス(Sadler's Wells系)、母マイヴィヴィアン(その父ダンシングブレーヴ(Lyphard系))という血統。G1(Jpn1)勝利は昨年の東京優駿以来で3勝目となり、通算成績は17戦8勝(重賞5勝)。

メイショウサムソンは中団から。勝負所で一気に進出し、直線で内外に分かれた2、3着馬に際どく迫られたがそのまま押し切った。昨年の菊花賞の4着敗退で距離不安が囁かれていたが、ユメノシルシ(15着)が作り出した「ハイペース」(前半1,000mが60.3秒)が結果として単純な上がりの競馬にならず、底力を問われるサムソン向きの展開になったことが勝因だろう。昨秋は軽いスランプ状態だったが、有馬記念後の放牧→転厩が彼を想像以上にリフレッシュさせたようだ。

エリモエクスパイアは道中サムソンと同じ様な位置から徐々に進出。直線ではあわや2冠馬を差し切ろうかという勢いで末脚を伸ばすがわずかに届かず。前走の日経賞で引っ掛かってしまい10着と大敗していたが、この日は別馬のようにスムースな折り合い。長めの距離で結果を出してきているが、血統的にはもっと短い距離でもやれるはず。気性面から常に好走という訳には行かないようだが、自分のツボに嵌れば好走可能というタイプに成長しそうだ。

トウカイトリックはいったんポジションを下げて内をすくって伸びてくる。3,000m級のレースでは実に安定した成績であるが、「安定している」ことが「勝利」につながる訳ではないところが競馬の難しさ。距離適性的に秋シーズンは適鞍がなさそうでもあり、オーストラリア遠征が面白いような気がする。

アイポッパーはスタートが良くなく、道中のポジションが絶望的。メンバー中最速の末脚も時既に遅しであったが、年齢を考えればよくやっている。同馬も秋は再度のオーストラリア遠征を考えて欲しい。トウショウナイトは4角先頭の積極策も結果的にガス欠。同じムーヴメントを見せたデルタブルースが惨敗(12着)したことを考えれば、掲示板に粘り込んだ強い5着だったと言えるのではないか。


戦前は「大混戦」を伝えられたが、結果的には昨年のクラシック2冠馬が“順当”に勝利を収めた。天皇賞には厳然たる「格」が存在する。それが古馬最高峰と謳われる所以である。「勝つべき馬が勝ち、天皇盾の「格」を守った」天皇賞・・・そのように評価できる。

完全復活を遂げたメイショウサムソン。同じ父を持つテイエムオペラオーもそうだったが、3歳秋の軽いスランプ(オペラオーはそれでも3着を外さなかったのは立派だったが)から立ち直り、再び覇道を歩みそうである。春シーズンはこの馬を中心に展開する。