来週の水曜日(7月12日)、大井競馬場では上半期の3歳ダート王決定戦・第8回ジャパンダートダービー(統一G1、大井ダート2000)が行われる。

JRAのダート重賞戦線は以前に比べてかなり番組が充実してきたという印象があるが、3歳春のダート路線の番組の貧弱さは改善の余地がある。3歳春のダート重賞はユニコーンS一鞍のみであり、OP特別の数も芝に比べれば手抜きも甚だしい状況であるからだ。その結果、純粋なダート馬が(レース間隔が開きすぎるからなどの理由で)芝の重賞を使うケースが目に付く(あのカネヒキリでさえも芝の毎日杯を使った)。日本の競馬、特にJRAはヨーロッパに範を取ったため、ダート競馬が芝の競馬よりも一段低く見られている状況はダート路線が充実した現在であっても少しも変化していない。しかし、それは一向に3歳春のダート路線にメスを入れようとしないJRAの態度にも問題があるのではないだろうか。3歳春のダート競走を交流重賞任せにするのではなく、もっと大事にして欲しい。ダート馬の目標を3歳春に設定することで、フラムドパシオンのような“原石”がもっと発掘されることになるかも知れないのだから。

JDD出走予定馬(6月30日現在)
馬名
主な戦績
フジノダイヒット(北海道)札幌ダービー北斗盃
モエレジーニアス(北海道)函館2歳S
オウシュウクラウン(岩手)岩手ダービーダイヤモンドC
ホウライミサイル(名古屋)東海ダービー
ウインドファンタジ(兵庫)園田ジュニアC
ナイアガラ(栗東)すみれS
ナイキアースワーク(栗東)ユニコーンS
バンブーエール(栗東)昇竜S
フレンドシップ(栗東)伏竜S
ヤマタケゴールデン(美浦)端午S
キングトルネード(川崎)ハイセイコー記念3着
サワライチバン(船橋)京浜盃
サンキューウィン(船橋)羽田盃
トネノキング(大井)
ブルージョージ(大井)
アオイハル(川崎)


上記以外に、スターオブジャパン(佐賀)、マトリックス(金沢)、オグリホット(笠松)、アテスト(美浦)、タガノエクリプス(栗東)の登録があるが、選定上位馬に回避馬が出た場合、南関東、他地区、中央の区分ごとに繰り上がることになっている。

昨年は中央ではカネヒキリ、公営ではシーチャリオット(結局、故障によりJDDには出走出来ず)という核になる馬が存在していたが、今年は中央、公営勢ともに抜けた存在がおらず、混戦が予想されている。

中央勢の中心はユニコーンSで鮮やかな勝ちっぷりを見せたナイキアースワークになるだろうか。前走は直線一気の末脚で一瞬のうちに他馬を置き去りにしてしまう豪快なレースだった。一度トップに駆け上がるとしばらく好調期が持続する“連チャン期”があるのがブライアンズタイム産駒の特徴。ダートではまだ底を見せておらず、一気に頂点へ駆け上がるか。

ナイアガラの前走は日本ダービー17着で完走馬中最下位に終わったが、ダートでは(2-0-1-0)と底を見せておらず、巻き返しの可能性は残されている。

地味だがこの春ブレイクしたキングヘイロー産駒のヤマタケゴールデンも侮れない存在。前走のユニコーンSでは後方からの競馬となり鋭い決め手を披露したが、本来は端午Sのような前々で粘り込むレースが理想か。現時点では、このレースの鞍上を陣営は決めかねているようだが、鞍上(池田鉄平)を抜きにすればここで好勝負しても決しておかしくない存在。もし、池田のままであれば人気面で妙味が出てくるか。

バンブーエールは先行勢総崩れの競馬となったユニコーンSで5着に粘り込んだ。アフリート産駒で距離延長は必ずしもプラスではないため、マイペースに持ち込んでどこまでという力関係になるだろうか。

フレンドシップの前走は兵庫チャンピオンシップ2着。牝馬のグレイスティアラに競り負けてしまった。前走は小回りの園田でコーナリングがスムーズではなかったため、広い大井に場所が替わるのはプラス材料となるだろう。鞍上に内田博幸を確保したのも心強いが、これで馬券的な妙味はなくなったかも知れない。

南関東勢は東京ダービー馬ビービートルネードが不在だが、羽田盃馬サンキューウィンが中心になるだろう。道営デビューで船橋移籍後に素質が開花した同馬。既にセン馬になっているように気性面に課題があるが、南関東の2冠で見せた粘り腰はなかなかのものがある。ここは先手を取れそうなメンバーで展開面の利はありそうだが、JRAに遠征した3月の中山ダート1200で2桁着順に大敗しており、中央勢との力関係がポイントになるだろう。

今年の南関東の出走予定馬はサンキューウィンを除けば底が見えている、もしくは見えかかっている馬ばかりで、レベル的には疑問符がつくため、中央勢が初経験の大井の馬場やナイター競馬に戸惑うようだと他地区からの出走予定馬にもチャンスが出てくるかも知れない。今年、地方競馬の各主催者は協力し合い、「ダービーWeek」なるシリーズを実施し、各レースの優勝馬にはジャパンダートダービーの優先出走権を付与することとした。地方競馬と言っても、各地区でレベルの格差があり、優先出走権を付与してもどこまで機能するのか疑問視されたが、道営、岩手、名古屋の3地区のダービー馬が顔を揃えることとなった。

札幌ダービーの覇者フジノダイヒットは12戦4勝。前走の北斗盃が初めての重賞制覇だった。2歳時にJRAのクローバー賞に挑戦し、弥生賞馬アドマイヤムーンの1.1秒差8着という記録がある。岩手ダービーの覇者オウシュウクラウンは14戦7勝。所属を岩手→南関東→岩手と変えているため、南関のクラシック上位勢との対戦経験があり、他地区と南関勢のレベル比較の物差しとなりそうだが、南関所属時はサワライチバン、サンキューウィンにそれぞれ子供扱いにされている。東海ダービーの覇者ホウライミサイルは7戦4勝。東海ダービーでは2着に5馬身差をつける圧勝だったが、過去に2度挑戦したJRAでのダート戦はいずれも完敗に終わっている。各地のダービー馬以外では函館2歳Sを制したモエレジーニアスが注目だが、ここは昨年の北海道2歳優駿(統一G3)以来の競馬となり臨戦過程に疑問が残る。

【レースの傾向】
1.過去7回はJRA所属馬5勝、地方所属馬2勝とJRA優勢。

2.武豊がゴールドアリュール(2002)、ビッグウルフ(2003)、カネヒキリ(2005)で3勝を挙げている。「大井は鬼門」と言われたのも今は昔か。

3.JRA勢がワンツーフィニッシュを決めたのは2002、2003、2004の3回あるが、ワンツースリーを決めたのはレース創設以降、一度もない。一方、地方勢は創設初年度にワンツースリーを決めている。

4.過去7年間の1→2→3着馬を所属別に表すと次のようになる。

1999年:大井→船橋→大井
2000年:美浦→大井→道営
2001年:船橋→大井→栗東
2002年:栗東→栗東→船橋
2003年:栗東→栗東→船橋
2004年:美浦→栗東→大井
2005年:栗東→船橋→大井

一番目に付くパターンはJRA→JRA→南関東か。

5.ステップレースは、上記期間中に交流重賞である名古屋優駿の廃止があったため参考程度に。過去7年間の1着→2着→3着馬のステップレースと着順は次のようになっている。

1999年:東京ダービー1着→東京ダービー3着→東京ダービー6着
2000年:名古屋優駿2着→東京ダービー7着→登別マリンパーク特別1着
2001年:東京ダービー1着→東京ダービー6着→プロキオンS6着
2002年:東京優駿5着→ユニコーンS2着→東京ダービー3着
2003年:名古屋優駿1着→ユニコーンS1着→東京ダービー1着
2004年:ユニコーンS4着→関東オークス2着→東京ダービー2着
2005年:ユニコーンS1着→東京ダービー2着→東京ダービー4着

ユニコーンS優勝馬は参戦例が少なく(1-1-0-0-0-0)という成績が残っている(ユニコーンSが春に移行して以降の成績)。ユニコーンS勝ち馬にはある程度の信頼を置いても良いだろう。南関東勢は東京ダービーに出走していることが必須条件か。東京ダービーで掲示板を外していた馬が3頭も巻き返してきているので該当馬には注意を払いたい。
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